
運営指導のヒアリング、聞かれやすいことと答え方の準備
「運営指導の当日、書類は揃えたけれど、口頭で何を聞かれるんだろう」——そう考え出すと、急に落ち着かなくなりますよね。書類なら見返せても、その場のやり取りは準備しづらい。うまく答えられなかったらどうしよう、と身構えてしまうのは自然なことです。
でも、ヒアリングで聞かれることには、だいたいの型があります。何を確認したいのかが分かっていれば、当日その場で考え込まずにすみます。今日は、聞かれやすい質問と、落ち着いた答え方の準備を一緒に整えていきましょう。
結論:運営指導のヒアリング(担当者への聞き取り)では、「書類のとおりに、実際も動いているか」を確かめる質問が中心です。準備の軸は3つ。①算定している加算の根拠を、書類のどこを見れば説明できるか整理する。②人員配置と勤務の実際を、勤務形態一覧表とつなげて言えるようにする。③分からないことは、その場で憶測せず「確認して回答します」と返すと決めておく。これだけで、当日の緊張はずいぶん軽くなります。なお、確認される項目や進め方は自治体・サービス種別で異なるため、届いた通知書と保険者の案内で最終確認してください。
そもそもヒアリングで何を見られるのか
運営指導(以前の「実地指導」。2022年度から名称が変わりました)は、基準どおりに運営できているかを確認し、改善点があれば指導する場です。書類の点検とあわせて、担当者への聞き取りが行われます。
このとき見られているのは、「書類と実際がつながっているか」です。たとえば加算を算定していれば、その加算の要件を満たす動きが日々の現場で本当に行われているか。書類だけ整っていて中身が伴わない、という状態になっていないかを、質問を通して確かめています。
だから、身構えて完璧な受け答えを目指すというより、普段やっていることを、そのまま言葉にできる状態にしておくのが準備の中心になります。
聞かれやすい質問を、分野ごとに整理する

質問は無数にあるように見えて、実は大きく3つの分野に分かれます。分野ごとに「よく聞かれること」を並べておきます。
① 加算に関すること
- この加算は、どういう体制・記録で算定していますか
- 要件を満たしていることは、どの書類で確認できますか
- 加算の対象になった方への支援は、実際にどう行っていますか
答え方の準備:算定中の加算を一覧にし、それぞれ「根拠になる書類・記録の置き場所」を横に書き添えておきます。聞かれたら、その書類を示しながら説明できれば十分です。
② 人員・配置に関すること
- 管理者や各職種の配置は、基準を満たしていますか
- 常勤換算の数え方は、勤務形態一覧表とどうつながっていますか
- 兼務している職員は、どの時間にどの役割ですか
答え方の準備:勤務形態一覧表を手元に置き、「この行のこの人が、この時間にこの役割」と指でたどれるようにしておきます。数字の根拠を口頭で全部言おうとせず、表を見せて説明する形でかまいません。
③ 記録・ケアの実際に関すること
- 日々の記録は、いつ・誰が・どう残していますか
- 計画(ケアプラン等)と、実際の支援は一致していますか
- 事故や苦情があったとき、どう対応・記録していますか
答え方の準備:「その日のうちに、事実を残す」を基本にしていること、難しい日は翌営業日までに後から書いた事実が分かる形で残していること、を素直に説明できれば大丈夫です。取り繕う必要はありません。
答え方で大事な、たった3つの姿勢
質問の中身より、実は「どう答えるか」の姿勢のほうが、当日を左右します。難しいことではありません。
- 事実で答える:「たぶん」「だいたい」ではなく、書類や記録を示しながら事実を伝えます。示せるものがあると、それだけで説明が安定します。
- 分からないことは、その場で作らない:即答できない質問には、「確認して回答します」と返して大丈夫です。憶測で答えて、後から食い違うほうが困ります。担当者を呼ぶ、書類を確認する、と正直に動くほうが信頼されます。
- 一人で抱えない・役割を決めておく:誰がどの分野に一次対応するかを事前に決めておくと、「それは請求担当に確認します」とスムーズに引き継げます。全部を一人が答えなくて大丈夫です。
この3つは、うまく話す技術ではなく、落ち着いて誠実に対応するための構えです。特別な話術はいりません。
前日までにやっておくと安心なこと
当日あわてないために、前日までにここだけ整えておくと気持ちが楽になります。一度に全部やろうとせず、上から順に手をつければ十分です。
- 算定している加算の一覧と、それぞれの根拠書類の置き場所をメモにする
- 勤務形態一覧表を最新にし、兼務・常勤換算がすぐ説明できる状態にする
- 直近の記録を数件見返し、計画と実際が結びついているか確認する
- 事故・苦情の対応記録が、時系列で追える形になっているか見ておく
- 誰がどの分野の質問に一次対応するか、担当を決めて共有する
これらは一夜漬けで完璧にするものではありません。普段の積み重ねを、当日見せられる形に整えるだけ、と考えると気が楽になります。
確認チェックリスト
- 算定中の加算を一覧にし、根拠書類の置き場所を書き添えたか
- 勤務形態一覧表が最新で、兼務・常勤換算を口頭で補足できるか
- 直近の記録を見返し、計画と実際が一致しているか確認したか
- 事故・苦情の対応記録が、時系列で追える形になっているか
- 「分からないことは確認して回答する」と対応方針を共有したか
- 分野ごとの一次対応担当(加算・人員・記録)を決めてあるか
- 当日、書類を示しながら説明できる場所に整理してあるか
チェックがすべて埋まらなくても、焦らなくて大丈夫です。加算の根拠と人員の書類、この2つから優先して手をつけると、限られた時間でも回しやすくなります。
次に向けて
ヒアリングは、粗探しをされる場ではなく、普段の仕事を言葉で確認する場です。「書類のとおりに実際も動いているか」を、事実で・分かる範囲で・正直に伝える。この構えさえ持っておけば、当日その場で考え込まずにすみます。
答えられない質問があっても、「確認して回答します」と返せる。それだけ準備できていれば、もう十分に前を向けています。今日は、聞かれる分野が3つに整理できただけで大きな一歩です。あとは、いつもの仕事を丁寧に続けていきましょう。

準備が整えば、当日はいつもの自分で答えるだけです。うまく話そうとしなくて大丈夫。事実を、落ち着いて、正直に。それがいちばん強い受け答えになります。
制度と現場をつなぐ仕事があるから、介護の現場は今日も止まらずに動いています。
よければ、こちらも
運営指導そのものと監査の違いは運営指導と監査の違い、あわてず整理しておくに、指導のあとに求められる書類の書き方は改善報告書のまとめ方と書き方の型にまとめています。あわせて読むと、通知から当日、その後までの流れがつかみやすくなります。