提供票別表(実績記録票)の紙と、介護ソフトの請求データ画面を見比べ、サービスの回数や単位が合っているかを一行ずつ確認する介護事務の担当者

実績記録票と請求データの突合のしかたを一緒に整理する

月末、請求データを固める前に、提供票別表(実績記録票)と介護ソフトの数字を突き合わせていて「あれ、この利用者の回数、合ってない……」と手が止まること、ありますよね。ケアプランどおりに提供したはずなのに、記録と請求の数字がどこかで食い違う。どこがずれているのかを一行ずつ追いかけるうちに、時間だけが過ぎていく——月末の照合は、地味だけれど神経を使う作業です。

でも、突合は「見る順番」さえ決めてしまえば、ずれの場所をぐっと早く見つけられるようになります。今日は、実績記録票と請求データがなぜ食い違うのかを整理したうえで、毎月同じ順で回せる突合の型を、現場で無理なくできる小さな手順に分けて一緒に見ていきましょう。

結論:実績記録票(提供票別表)と請求データの突合は、①利用者ごとに照らす → ②サービス種類ごとに照らす → ③回数・日数と単位数を照らす、という大きい順から細かい順へ突き合わせると、ずれの場所を早く見つけられます。ポイントは、いきなり単位数の合計を比べるのではなく、「利用者→サービス→回数→単位」と粒度を段々細かくしていくこと。加算や日割りの扱いは制度改正・自治体で変わるので、最終的な判断は必ず最新の告示・お住まいの自治体の通知でご確認ください。

何が起きているか — 「記録」と「請求」は別々に育つ

まず、なぜ実績記録票と請求データがずれるのかを整理します。

そもそもこの二つは、出どころが違います。実績記録票(提供票別表)は、ケアマネから受け取った提供票をもとに「実際にどのサービスを何回・何日提供したか」を記録したもの。いっぽう請求データは、介護ソフトに入力した実績から作られる、国保連へ送るための数字です。理屈のうえでは同じはずですが、間に「人の入力」と「月の途中の変更」が挟まるぶん、少しずつ食い違いが生まれます。

実績記録票(提供票別表)とは、ケアプランに基づく提供票の裏側にあたる表で、事業所が実際に提供したサービスの実績を日付・回数で記録したものです。ケアマネへ実績報告として返すもとになり、請求の根拠にもなります。

食い違いが生まれやすいのは、たとえば月の途中でキャンセルや追加があった、区分支給限度額を超えて一部が自己負担に回った、加算の算定が変わった、といった「予定と実績がずれた」場面です。予定(提供票)のまま請求データが作られていて、実績の変更が反映されていない——これが、突合でいちばんよく出会うパターンです。責めるための照合ではなく、提供した分を正しく請求し、ケアマネへ正しく実績を返すための照合だと思うと、少し気が楽になります。

ずれが起きやすい三つの場面

実績記録票と請求データのずれが起きやすい「キャンセル・追加」「限度額超過」「加算の変更」の三つの場面を並べた図
ずれは「予定と実績が動いた場面」に集中しがち。ここを先に見ると効率よく見つかります。

毎月すべての行を一から疑っていたら、時間がいくらあっても足りません。実は、ずれは「予定と実績が動いた場面」に集中しやすいものです。次の三つを頭に置いておくと、突合の的を絞れます。

いつもと同じ利用状況で流れている月は、ソフトが前月どおりに作ってくれるので大きくは崩れません。だから、動きのあった利用者を先に洗い出すのが、いちばん効率のよい突合になります。

突合の手順 — 粒度を「大きい順」に細かくしていく

突合を「利用者ごと」「サービスごと」「回数・単位ごと」の三段で上から順に細かく突き合わせる流れを示した図
突合は「利用者 → サービス → 回数・単位」の順に。粗い所から段々細かく見るのがコツ。

突合のコツは、いきなり単位数の合計をつき合わせて「合わない……」と探し回るのではなく、粒度を大きい順から細かい順へ下げていくことです。まず利用者単位、次にサービス単位、最後に回数・単位数。こうすると、ずれている「行」に早くたどり着けます。順番に見ていきましょう。あわてず、ひとつずつで大丈夫です。

手順1. 利用者ごとに「対象者がそろっているか」を照らす

まず、今月請求する利用者の一覧と、実績記録票の利用者が一致しているかを見ます。新規に利用を始めた人、月の途中で退所・入院した人、他事業所へ移った人——そもそも請求対象に載っている顔ぶれが合っているかを先に確認します。ここで一人抜けていれば、そのあと回数をいくら数えても合いません。人数レベルのずれを最初につぶしておくと、あとがぐっと楽になります。

手順2. サービス種類ごとに「提供したものがそろっているか」を照らす

次に、利用者ごとに提供したサービスの種類(訪問介護・通所介護・福祉用具貸与など)が、実績記録票と請求データで一致しているかを見ます。種類の抜け・重複は、単位数を見る前に気づけるずれです。とくに、月の途中で追加したサービスや、加算として算定するものが、片方にだけあって片方にない、というケースをここで拾います。加算が絡む所は加算の算定漏れを防ぐ月次点検のしかたを一緒に整理するの考え方と合わせると、取り逃し・取りすぎの両方に目が届きます。

手順3. 回数・日数と単位数を照らす

最後に、種類までそろったサービスについて、回数・提供日数、そして単位数が一致しているかを一行ずつ照合します。ここで初めて数字の細かい突き合わせに入ります。キャンセルで減った回数、追加で増えた回数、限度額超過で保険給付から外れた分——予定と実績で動いたところが、請求データにきちんと反映されているかを見ます。合計だけでなく、ずれた利用者の「その行」まで下りて確認すると、原因(入力漏れなのか、実績の反映漏れなのか)まで見えてきます。

つまずきやすい所、先に知っておくと安心なこと

突合を回すうえで、ハマりやすい所を先にお伝えします。どれも「知っていれば防げる」ものです。

どれも、動きのあった利用者に丁寧を1つ足すだけで、ぐっと防ぎやすくなります。

明日やること

明日から全利用者を完璧に突合しよう、と気負う必要はありません。まずは、次の小さな一歩から始めてみましょう。

  1. 今月キャンセル・追加・入退所・入院があった利用者を、先に付箋やメモで洗い出す。
  2. その利用者だけ、実績記録票と請求データを「利用者 → サービス → 回数」の順に突き合わせてみる。
  3. ずれが見つかったら、予定の反映漏れなのか、入力ミスなのか、原因まで一言メモしておく。

ここまでできれば、ずれの起きやすい所を先回りで押さえられます。「動きのあった人から見る」という順番が身につくと、来月からの突合はぐっと軽くなります。

確認チェックリスト

よければ、こちらも

実績記録票と請求データのずれは、粒度を大きい順に下げていけば、必ずどこかの行で見つかります。「動きのあった人から、利用者→サービス→回数の順で」——この一本の道筋を持っておくだけで、月末の照合はずいぶん心強くなります。今日ひとつ、動きのあった利用者を洗い出してみられたなら、それだけでもう、来月の突合はひとつ軽くなっています。提供した分を正しく請求し、ケアマネへ正しく返す。その静かな照らし合わせが、現場と制度をつないでいます。

実績記録票と請求データの突合を終え、片づいたデスクで窓の外の明るい空を見てほっと一息つく介護事務の担当者