
認知症加算の算定要件と記録、迷いやすい所を一緒に整理
「認知症加算、算定はしているけれど……この方は本当に対象で合っているのかな」。対象になる利用者さんの範囲、関わる職員の要件、そして残しておく記録――一つずつは分かっていても、まとめて目に入ると「どこから確認すればいいのか」で手が止まりますよね。その感覚、よくわかります。
でも大丈夫。認知症加算は「誰が対象か(利用者)」「誰が関わるか(人員)」「何を残すか(記録)」の3つに分けて見ると、ぐっと整理しやすくなります。現場で迷いやすい所に絞って、確認の順番を一緒に見ていきましょう。
結論:①対象となる利用者の要件(認知症日常生活自立度など)を確認 → ②関わる職員の要件(認知症介護に関する研修の修了者など)を確認 → ③日々の関わりと状態を記録に残す → ④体制届など届出の要否を確認、の順で整えると回ります。対象範囲・区分・様式・研修の種類はサービス種別や改定で異なるため、最終判断は最新の厚生労働省通知と指定権者(自治体)の案内で必ず確認してください。
なぜ複雑に感じるのか
- 「対象者の要件」と「職員の要件」と「記録」が同時に目に入る
- サービス種別(通所・訪問・施設など)で対象範囲や要件が違う
- 「算定して終わり」ではなく、日々の記録と状態の見直しが続く
いったん「利用者」「人員」「記録」の3つに分けて見るだけで、確認する場所がはっきりします。まずはこの分け方だけ持ち帰ってください。
まず「対象者」:この利用者さんは対象か

多くのサービスで、認知症加算の対象は「認知症日常生活自立度」が一定以上の利用者さんとされています。まず確認したいのはこの点です。
- 主治医意見書や認定調査の情報から、対象となる自立度に該当するかを確認する
- 該当の根拠(どの書類のどこで確認したか)を1行メモで残す
- 対象になる利用者さんの一覧を作り、月ごとに見直す
注意したいのは、対象の基準や求められる自立度の区分はサービス種別や改定で異なるという点です。「前は対象だったから今回も」と流さず、狙う加算の要件を最新の通知で一度確認しておくと安心です。判断に迷うケース(区分が境目、情報が古い等)は、確認した書類名と日付を残しておくと、あとで説明しやすくなります。
次に「人員」:関わる職員の要件
認知症加算の多くは、認知症介護に関する研修の修了者の配置などを要件にしています。ここは「誰が」「どの研修を修了しているか」を台帳で見える化しておくのが近道です。
体制メモ(1段落で用意)
- 研修修了者の台帳:氏名・修了した研修名・修了年月・修了証の保管場所
- 配置の状況:どの職員が要件を満たしているか、勤務表への役割マーク
- 更新・欠員時のメモ:退職や異動で要件が崩れそうなときの連絡先と代替案
研修の種類や必要な人数はサービス種別・区分で変わります。「この研修で要件を満たすか」は自己判断せず、指定権者の案内で確認しておくと、あとから慌てずに済みます。
そして「記録」:何を残せば説明できるか
「算定はしているのに、記録が薄くて指導で困った」――これは避けたいところ。とはいえ全部を長文で残すのは回りません。日々の記録は最小ラインに統一しましょう。
日々の記録・最小3点セット
- チェック:認知症の方への計画的な関わり(プログラム等)を実施したか(実施/未実施)
- 状態1項目:その日の様子(落ち着き・不穏・声かけへの反応など、いずれか1つ)
- 30字メモ:特記事項(変化があった時だけでよい)
記入例
- 実施[✓] 状態:午後は落ち着いて過ごされた/メモ:家族の写真で表情やわらぐ
- 実施[✓] 状態:夕方に落ち着かない様子/メモ:声かけで徐々に安定
あわせて、対象者ごとに「対象と判断した根拠」「関わりの方針」を1ページにまとめておくと、状態の見直しや説明のときに探し回らずに済みます。様式は自治体案内の範囲で調整してください。
最後に「届出」:体制届の要否を確認
加算を新しく算定する(または区分を変える)ときは、体制届などの届出が必要かを確認します。提出のタイミングを逃すと、算定したい月から取れないこともあるため、ここは早めに動くのが安心です。
- 届出が必要な加算か/すでに届出済みかを確認する
- 提出期限(○日まで、など)を自治体案内で確認し、事業所内の締切を前倒しで設定する
- 提出した控えと受付日を保管する
明日やること(優先順位と代替)
- 対象者一覧を作る(自立度の該当・根拠のメモ・月次の見直し欄)
- 人員要件の台帳を作る(研修修了者の氏名・研修名・修了年月・証の保管場所)
- 日々の記録を「最小3点セット」に統一する(変化がある時だけメモを足す)
- 対象者ごとに「根拠+関わりの方針」を1ページでそろえる
- 体制届など届出の要否と期限を、最新の自治体案内で確認する
一度に全部そろえなくて大丈夫。まずは1と2から始めれば、土台ができます。
影響:3つがそろうと、指導の年も慌てない
「対象者」「人員」「記録」の3点と届出がそろっていれば、運営指導でも「この方をこう判断し、この体制で、こう関わって記録した」を順に示せます。改定があっても「どこが変わったか」の差分を追いやすく、読み直しの負担が軽くなります。地味ですが、この積み重ねが一番効きます。
確認チェックリスト(持ち歩き用・最小ライン)
- 対象となる利用者の要件(認知症日常生活自立度など)を最新の通知で確認した
- 対象者ごとに「該当の根拠(どの書類のどこか)」を1行で残している
- 対象者の一覧を作り、月ごとに見直す運用にした
- 関わる職員の要件(認知症介護に関する研修の修了など)を確認した
- 研修修了者の台帳(氏名・研修名・修了年月・証の保管場所)が整っている
- 勤務表に要件を満たす職員の役割マークを付けている
- 日々の記録を「実施/未実施」「状態1項目」「30字メモ」の最小3点に統一した
- 対象者ごとに「根拠+関わりの方針」を1ページでそろえている
- 体制届など届出の要否・提出期限を自治体案内で確認し、控えを保管している
- 対象範囲・研修・様式は「改定時・自治体通知の着信時」に担当者が確認する
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一度で完璧にしなくて大丈夫です。「対象者は根拠つきで一覧に」「人員は台帳で見える化」「記録は最小3点」「届出は期限を前倒しで確認」。この4つが回りはじめれば、指導の年も落ち着いて向き合えます。今日読んだところから、一歩ずつ一緒に整えていきましょう。
認知症とともにある一日を、そっと支える関わりがあるから、介護の現場は今日も前を向いて進んでいます。