
通所介護の提供時間区分と単位数、迷わない選び方を一緒に整理
「今日のこの人、提供時間区分はどこで取ればいいんだっけ」。デイサービスの請求をしていると、朝から夕方までお預かりしているのに、いざ区分を選ぼうとすると「送迎の時間って入れるんだっけ」「早めに帰った日はどうするの」と、ふっと手が止まりますよね。介護ソフトが計画どおりに拾ってくれるとはいえ、イレギュラーがあった日ほど、自分の判断が合っているか不安になるところです。その気持ち、よくわかります。
でも、通所介護の時間区分は「何を数えて、何を数えないか」さえ押さえてしまえば、そんなに迷う場所ではありません。今日は、区分の決まり方と、迷いやすい場面での考え方を、請求事務が使う順に一緒に整理していきましょう。
結論:通所介護の単位数は、「所要時間」による時間区分で決まります。ポイントは3つ。①区分の対象になるのはサービスを提供している時間で、送迎に要する時間は含めないこと。②所要時間は原則として通所介護計画に位置づけた標準的な時間で見ること。③長くお預かりする分は区分ではなく延長加算で対応すること。区分の刻みや単位数、加算・減算の額は事業所規模や改定で変わるので、最終的な数字は必ず最新の告示・解釈通知と自事業所の規模区分でご確認ください。
何が「時間区分」を決めているのか
まず言葉の整理から。通所介護の基本報酬は、「どれくらいの時間サービスを提供したか」を1時間刻みの区分で表し、その区分ごとに単位数が決まっています。現行の考え方では、区分はおおむね次のように刻まれています。
- 3時間以上4時間未満
- 4時間以上5時間未満
- 5時間以上6時間未満
- 6時間以上7時間未満
- 7時間以上8時間未満
- 8時間以上9時間未満
そして、この「時間」にあたるのが所要時間です。ここでいちばん大事なのは、所要時間は送迎の時間を含まないということ。ご自宅からの送り迎えにかかった時間ではなく、事業所でサービスを提供していた時間が区分の対象になります。ここを取り違えると、区分がまるごとひとつずれてしまうので、最初に押さえておきたいところです。
所要時間とは、その利用者に提供するサービスの標準的な内容にかかる時間のことです。実際の時計の針で「今日は何分だった」と毎回測るというより、通所介護計画に位置づけた時間をもとに考えるのが原則です。当日ちょっと前後したからといって、区分がころころ変わるわけではない、と考えるとイメージしやすいです。
送迎と提供時間は分けて考える

たとえば、朝9時に送迎車がご自宅を出て、9時半に事業所へ到着。夕方4時までサービスを提供し、4時に事業所を出て4時半にご自宅へ。この一日を、そのまま「9時から16時半で7時間半」と数えたくなりますが、それは違います。
区分の対象になるのは、事業所に着いてからサービスを終えるまでの部分です。上の例なら、9時半から16時までのおよそ6時間半。だから区分は「6時間以上7時間未満」の側で考えることになります。送迎の往復1時間は、ここには足しません。上の図のように、前後の送迎は帯の外、真ん中の提供時間だけが区分の対象、とイメージすると取り違えにくくなります。
「うちは滞在時間で入力していたかも」と思ったら、いちど計画書と照らし合わせてみてください。ここは現場でも本当に迷いやすいところなので、気づけたならそれで十分前進です。
計画と実際がずれた日は、どう考える?
請求事務がいちばん悩むのは、「計画どおりにいかなかった日」です。基本の考え方を押さえておくと、あわてずにすみます。
少し早く帰った・少し延びた程度なら
原則は、通所介護計画に位置づけた所要時間で区分を取ります。当日の体調で少し早めにお帰りになった、レクが盛り上がって少し延びた——その程度のことで区分を毎回付け替える必要はありません。計画の区分で算定するのが基本、と覚えておくと落ち着けます。
大きく短くなったときは
一方で、利用者の都合などで計画より大幅に短くなったときは、実際に提供した時間に見合った区分で考える必要が出てきます。「計画は7〜8時間だったけれど、体調不良で昼前に帰られた」といった日は、計画の区分のままでよいのか、実態に合わせるのか、判断が分かれる場面です。ここは自己流で決めず、その月の解釈通知や保険者のルールを確認するのが安心です。
計画より長くお預かりしたときは
逆に、区分の上限(8〜9時間)を超えて長くお預かりした分は、時間区分を伸ばすのではなく「延長加算」で対応します。区分は9時間未満で頭打ちになり、そこから先は加算の話になる、という二階建ての構造です。「長く見た=区分が上がる」ではない、と分けて理解しておくと、入力のときに迷いません。
単位数まわりで、あわせて確認したいこと
区分が決まっても、単位数はそれだけでは確定しません。次の点をセットで見ておくと、返戻や取り違えを防げます。
- 事業所の規模区分:通所介護は、前年度の平均利用延人員数によって通常規模型・大規模型などに分かれ、同じ時間区分でも単位数が変わります。自事業所がどの規模区分かを、まず一度確認しておきましょう。
- 要介護度:同じ時間区分でも、要介護1〜5で単位数が異なります。認定区分と入力が合っているか確認を。
- 送迎の有無:送迎を行わなかった場合の減算が設定されています。ご家族が送り迎えをした日などは、減算の対象にならないか確認しておくと安心です。
- 各種加算:入浴介助加算や個別機能訓練加算など、算定している加算のコードが過不足なく入っているか。基本部分(区分)だけで満足しないことがコツです。
- 地域区分の単価:単位数が決まっても、金額は〈単位数 × 地域区分の1単位あたりの単価〉です。自事業所の地域区分をメモしておくと毎月の確認が楽になります。
どれも「知らないとハマるけれど、知っていれば防げる」ものばかりです。ひとつずつで大丈夫です。
明日やること
明日いきなり全部を見直す必要はありません。まずは、次の小さな一歩から。
- よく利用されている方を2〜3人だけ選び、通所介護計画の所要時間と、介護ソフトで取れている時間区分が合っているかを見比べる。
- その区分が、送迎を除いた提供時間で取れているかを、送迎記録と突き合わせて確認する。
- 自事業所の規模区分(通常規模型/大規模型)と地域区分の単価を、あらためてメモしておく。
ここまでできれば、イレギュラーがあった日でも「まず所要時間、送迎は外して、迷ったら通知を見る」と、自分の中に手順ができてきます。
確認チェックリスト
- 時間区分は、送迎を除いた提供時間で取れているか
- 所要時間は、通所介護計画に位置づけた時間をもとにしているか
- 計画と実際が大きくずれた日の扱いを、最新の通知・保険者ルールで確認したか
- 上限を超えた分は、区分ではなく延長加算で処理しているか
- 自事業所の規模区分に合った単位数になっているか
- 要介護度と入力区分が一致しているか
- 送迎を行わなかった日の減算の要否を確認したか
- 算定した加算のコードが過不足なく入っているか
- 迷った点は最新の告示・解釈通知で確認したか
よければ、こちらも
- 区分の元になる単位数の読み方そのものでつまずいたら、サービスコード表の見方と、単位数の確認手順を一緒に整理する と合わせて見ると、数字まわりの不安がぐっと減ります。
- 月の途中で入退所や区分変更があった月は、介護報酬の日割り計算、必要な場面と数え方を一緒に整理する も参考になります。
- 区分の取り違えで返戻が来てしまったときは、国保連の返戻はなぜ起きる?よくある原因と対応手順 が落ち着いて対応するヒントになります。提出前の総点検には 介護報酬請求 月次ミス防止チェックリスト もどうぞ。
通所介護の時間区分は、最初こそ「どこからどこまでを数えるの」と身構えますが、「送迎は外して、真ん中の提供時間だけ」「基本は計画の所要時間」と分けてしまえば、ちゃんと必要な区分にたどり着けます。今日ひとり分でも、区分の取り方を自分の目で確かめられたなら、それだけでもう、明日の請求は少し軽くなっています。
