介護事業所の事務室で、回収したアンケート用紙の束を前に、ノートパソコンで集計を始めようとしている事務担当者

介護の満足度アンケート|利用者・家族に聞く実施と集計を一緒に

「今年も満足度アンケート、そろそろお願いね」。管理者からそう言われて、去年の用紙を共有フォルダで探す。見つかったのは3年前のファイル名。質問はこのままでいいのかな。集計って、去年は誰がどうやったんだっけ——。

アンケートは年に一度くらいしか回ってこない仕事なので、毎回「思い出すところ」から始まりがちですよね。でも、利用者さんやご家族が書いてくださる一言には、日々のケアや受付の対応が、ちゃんと届いているかどうかが映っています。今日は、つくる・配る・集計する・結果を返すまでを、順番に一緒に整えていきましょう。

結論:満足度アンケートは、4つの「決めておく」で毎年ラクになります。①質問は10問前後にしぼり、5段階+自由記述の形にする。②無記名で、書きやすく出しやすい回収方法を用意する。③集計は「割合」と「自由記述の分類」の2本立てにする。④結果と「これから取り組むこと」を、利用者さん・ご家族に返す。どこを改善するかを決めるのは管理者や現場のチームです。事務は、声を集めて「読める形」に整える役割を担います。

アンケートの時期に、何が起きているのか

満足度アンケートでつまずくのは、事務の方の段取りが悪いからではありません。年に一度しかやらないので、やり方が誰の手元にも残っていないことが多いのです。

どれも、忙しい中では起きて当然のことです。一度「型」を作っておけば、来年からは今年の型を開くだけで始められます。

① 質問は10問前後にしぼり、5段階+自由記述に

質問をつくるときは、「全部聞きたい」をいったん手放すのがコツです。ご高齢の利用者さんや、仕事の合間に記入するご家族にとって、長いアンケートは負担になります。目安は10問前後、記入に5分ほどで終わる量です。

聞く項目は、サービスの場面ごとに分けると整理しやすくなります。

答え方は、「満足」「やや満足」「ふつう」「やや不満」「不満」の5段階にそろえると、集計のときに比べやすくなります。そして最後に、自由記述の欄を必ず1つ置きましょう。「職員へのメッセージや、改善してほしいことがあればお書きください」のような一文で十分です。いちばん大切な声は、たいていこの欄に書かれています。

毎年の変化を見たいので、質問の文言は来年もなるべく変えないのがおすすめです。用紙には作成年度を入れておくと、どれが最新版か迷わなくなります。

② 無記名で、書きやすく出しやすい回収方法を

満足度アンケートの流れを「つくる」「くばる」「まとめる」「かえす」の4つの場面で左から順に並べた図
声を集めて終わりではなく、結果を返すところまでが1周。流れを決めておくと、来年は型を開くだけで始められます

本音を書いていただくためには、無記名が基本です。お名前を書く欄は置かず、「お名前は書かなくて大丈夫です。いただいた声は、サービスの見直しのためだけに使います」と、用紙の冒頭に一言添えておきましょう。

配り方と回収の仕方は、事業所の形に合わせて選びます。

利用者さんご本人に書いていただく場合は、読みやすい大きめの文字で、選択肢に丸をつけるだけで答えられる形にしておきます。ご本人が記入しにくいときは、ご家族に代筆をお願いするか、担当以外の職員がお手伝いするなど、答えやすい形を相談しておきましょう。担当の職員が横にいると、どうしても「よかったです」と書きたくなるものです。

回収期間は2〜3週間ほどとって、締め切り日を用紙に大きく書いておきます。締め切りの1週間前に、送迎や面会のときに「アンケート、よろしければお願いします」とひと声かけるだけでも、戻ってくる数は変わります。

③ 集計は「割合」と「自由記述の分類」の2本立てで

回収したら、表計算ソフトに1枚1行で入力していきます。列は「質問1〜質問10」「自由記述」の形にしておくと、あとで数えやすくなります。

5段階の質問は、平均点より「割合」で見るのがおすすめです。たとえば、配布40通・回収28通だったとします。

「3.9点」と言われるより、「4人に3人が満足と答えてくださった」のほうが、現場の職員にも伝わりやすいですよね。空欄の回答は分母から外すかどうか、事業所で決めておいて毎年そろえましょう。

自由記述は、そのまま全部を書き写したうえで、内容ごとに分類します。分け方は①の場面(職員の対応・ケア・環境・連絡)と同じにしておくと、数字の結果と並べて読めます。「お礼・うれしかったこと」と「改善してほしいこと」に色分けしておくのもおすすめです。

ひとつ気をつけたいのは、自由記述から個人が分かってしまう場合です。「〇〇さんに言われた一言が…」のように職員や利用者さんの名前が書かれていたら、現場に共有するときは名前を伏せ、原本は管理者に直接渡します。苦情に近い内容があれば、アンケートとは別に、苦情対応の流れにのせて相談しましょう(苦情を受けたときの初期対応と、記録の残し方を一緒にで整理しています)。

④ 結果と「これから取り組むこと」を返す

集計ができたら、管理者と現場のチームで「どこを大切にして、どこを見直すか」を話し合ってもらいます。事務は、その話し合いの材料として、数字の表1枚+自由記述の分類1枚を用意すれば十分です。

そして、いちばん忘れられやすいのが、結果を利用者さん・ご家族に返すことです。書いてくださった方にとって、「読んでもらえたんだ」と分かることが、何よりの安心になります。

改善の約束は、できることを小さく書くのがコツです。「送迎の到着時刻の連絡を、10分以上遅れるときは必ずお電話します」のように具体的だと、来年のアンケートで変化も確かめられます。

事業所によっては、この結果を自己評価や運営推進会議の資料として使うこともあります(会議の段取りは運営推進会議の開き方と記録の残し方で整理しています)。集計ファイルと配布した用紙は、年度ごとのフォルダにまとめて保存しておきましょう。

こんなときは

明日やること

今日はここまで読めただけで十分です。明日は、ひとつだけ。

共有フォルダに「満足度アンケート」のフォルダを作り、去年の用紙と集計ファイルを探して入れておいてください。 見つからなければ、それで大丈夫。今年の分が、来年のための最初の型になります。

満足度アンケート・チェックリスト

全部を一度にそろえなくて大丈夫です。上から順に、できたところにチェックを入れていけば、それで前に進んでいます。

締めに

アンケートの集計は、数字を数えるだけの地味な作業に見えるかもしれません。でも、1枚ずつ用紙をめくっていると、「いつも笑顔で迎えてくれてありがとう」という一行に出会うことがあります。その一行を現場に届けられるのは、声を集めて読める形に整えた、あなたです。

型を一度作れば、来年のあなたはもっとラクになります。まずは明日、フォルダをひとつ作るところから始めてみましょう。

介護施設の休憩スペースで、事務担当者が介護職員にアンケートのお礼の声を見せ、2人で笑顔になっている明るい情景
集めた声を現場に届けると、明日のケアの力になります

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