事務室のデスクで卓上カレンダーと出席者の名簿を広げ、次の運営推進会議の日程と案内先を確かめている介護事業所の事務担当者

運営推進会議の開き方と記録の残し方、事務の段取りを一緒に整理

「そろそろ運営推進会議、やらないとまずいですよね」。管理者にそう言われて、カレンダーを見ながら固まってしまった——そんな夕方、ありませんか。

開かないといけないことは知っている。でも、誰を呼べばいいのか。何を話せば「開催した」ことになるのか。記録はどこまで書けばいいのか。そして、あの「公表」というのは、いったい何をどうすることなのか。

前任者から引き継いだ会議録のファイルを開いてみたけれど、書き方はバラバラで、参考になるようでならない。分かります。この会議は、やり方が細かく決まっている割に、決まり方がサービス種別ごとに散らばっているので、まとめて説明された資料に出会いにくいのです。

今日は、その散らばったところを一か所に集めて、明日から段取りが立つところまで一緒に整理します。

結論:運営推進会議は、①決められた頻度で開く → ②決められた顔ぶれに来てもらう → ③活動状況を報告して意見をもらう → ④記録を作って公表するの4つで回ります。頻度はおおむね2か月に1回以上のサービスとおおむね6か月に1回以上のサービスに分かれ、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護では会議の名前そのものが「介護・医療連携推進会議」に変わります。事務がいちばん落としやすいのは④の公表です。開催頻度・構成員・公表方法は自治体の条例や手引きで細部が異なるため、最終的な確認は指定権者(市町村・都道府県)の案内でお願いします。

そもそも、どの事業所に義務があるのか

まず、自分の事業所が対象かどうかを確かめるところからです。

運営推進会議の開催が運営基準で求められているのは、地域密着型サービスの事業所です。具体的には次のようなサービスが該当します。

地域密着型サービスとは、住み慣れた地域で暮らし続けられるように、原則としてその市町村の住民が利用するサービスとして、市町村が指定・指導監督を行うサービスの区分です。指定権者が都道府県ではなく市町村になるため、届出先も相談先も市町村の介護保険担当課になります。

つまり、訪問介護や(地域密着型ではない)通所介護など、都道府県が指定するサービスだけを運営している事業所には、この会議の義務はありません。自事業所の指定通知書に「地域密着型」と入っているかを確かめるのが、いちばん早い判別方法です。

なぜこの会議があるのか、という背景も、ひとこと知っておくと当日の説明が楽になります。地域密着型サービスは、その地域で完結する小さな単位で運営されるぶん、外からの目が届きにくいという面があります。そこで、地域の人に定期的に事業所の様子を見てもらい、意見をもらう場を制度としてつくった——それがこの会議です。「監視されるための会議」ではなく、「閉じないための会議」だと捉えると、少し気持ちが軽くなります。

頻度は、サービスによって2か月と6か月に分かれる

ここがいちばんの混乱ポイントです。表で分けてしまいましょう。

開催頻度の目安主なサービス
おおむね2か月に1回以上小規模多機能型居宅介護/看護小規模多機能型居宅介護/認知症対応型共同生活介護/地域密着型特定施設入居者生活介護/地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
おおむね6か月に1回以上地域密着型通所介護/認知症対応型通所介護/定期巡回・随時対応型訪問介護看護※/夜間対応型訪問介護※

※印は「介護・医療連携推進会議」という名称のものです。

「おおむね2か月に1回以上」は、年6回が基準になります。年間で最初にカレンダーへ6回分の枠を置いてしまうのが、いちばん確実な守り方です。1回抜けると取り返しがきかない性質の義務なので、開催してから次を決めるのではなく、先に置いてしまいましょう。

なお、複数のサービスを併設している事業所では、サービスごとに義務がかかります。小規模多機能型居宅介護とグループホームを併設しているなら、原則としてそれぞれに会議が必要です。ただし自治体によっては一定の条件で合わせて開くことを認めている場合があるため、ここは必ず市町村に確認してください。

誰に来てもらうのか

構成員として想定されているのは、おおむね次の顔ぶれです。

全員が毎回そろわないと開催にならない、という性質のものではありません。ただ、地域の人と行政の人が誰も入っていない会議は、この会議の趣旨から外れてしまいます。事業所の職員と利用者だけで話して終わり、という形にならないよう、そこだけは気をつけたいところです。

事務としてのコツは、「毎回この方々にお声がけする」という名簿を1枚作ってしまうことです。氏名・所属・連絡先・案内の送り方(郵送かメールか)をまとめておくと、次回からの案内が数分で終わります。担当が代わったときにも、この1枚があるだけで引き継ぎがまるで違います。

案内は、開催日の2〜3週間前を目安に出せると、地域の方も予定を組みやすくなります。民生委員や自治会の役員の方は他の会合も多いので、早めが親切です。

なお、テレビ電話装置等(オンライン会議システム)を活用しての開催も、利用者等の同意を得るなど所定の配慮のもとで可能とされています。遠方のご家族に参加していただきたいときには選択肢になります。取り扱いの細部は指定権者の案内を確認してください。

何を話すのか——議題の型

「活動状況を報告し、評価を受けるとともに、必要な要望・助言等を聴く機会」というのが、この会議の位置づけです。難しく考えず、次の型で組めば形になります。

  1. 開会・出席者の紹介(5分)
  2. 前回の意見に対する対応の報告(5分)— これがあると会議が"続きもの"になります
  3. 事業所の活動状況の報告(15分)— 利用者数、職員の状況、行事、取り組んでいること
  4. 事故・ヒヤリハット、苦情の報告と再発防止(10分)
  5. 非常災害対策・感染症対策など、備えの状況(5分)
  6. 意見交換(15分)— ここが本体です
  7. 次回の日程確認・閉会(5分)

3の活動状況は、数字を1〜2個入れると一気に伝わりやすくなります。「利用者は現在○名」「稼働率は○%前後」「今期の新規は○名」。地域の方は事業所の内部を知りませんから、数字があると具体的な質問が出やすくなります。

そして6の意見交換。ここで沈黙してしまうのが、多くの事業所の悩みです。おすすめは、こちらから相談を1つ持っていくことです。「災害時に地域のどこへ避難させてもらえるか、ご相談したい」「認知症の方が外に出てしまったとき、地域の方にどうお声がけいただけると助かるか」。答えを求める形にすると、会議が"報告会"から"相談の場"に変わります。

記録を作って、公表するまでがワンセット

運営推進会議を開き、記録を作り、掲示して公表するまでの3つの段階を左から順に並べて示した図
会議は「開いて終わり」ではありません。記録を作り、公表するところまでが1セットです。抜けやすいのはいちばん右です。

運営基準では、会議で受けた報告・評価・要望・助言等について記録を作成し、公表しなければならないとされています。開いただけでは終わりません。

記録に残しておきたい項目

いちばん大事なのは、意見と、それに対する事業所の対応がセットで書かれていることです。「特に意見なし」だけが並んだ記録は、運営指導の場で「本当に意見を聴く場になっていますか」と話題になりやすい部分でもあります。小さな意見でもいいので、出たものは残しましょう。

書きぶりは、逐語録である必要はありません。A4で1〜2枚、要点がたどれれば十分です。完璧な議事録を目指して作成が半年遅れるより、簡潔なものがその月のうちに出るほうが、はるかに価値があります。

公表のしかた

公表の方法は、法令上「これでなければならない」と細かく決まっているわけではなく、実務上は次のような方法が使われています。

ここは自治体によって求め方が違うところです。「掲示のみでよい」としている市町村もあれば、「開催後○日以内に市町村へ写しを提出」と定めている市町村もあります。一度、市町村の介護保険担当課の手引きを確認して、自事業所のやり方を決めて文書に残しておくと、担当が代わっても揺れません。

なお、記録を公表する際は、利用者やご家族の個人が特定される情報の扱いに配慮が必要です。氏名を伏せる、個別の状態像に触れないなど、掲示前にもう一度目を通す習慣をつけておくと安心です(→ 介護の個人情報、同意の取り方と扱いの基本を一緒に)。

グループホームでは、外部評価との関係も押さえておく

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を運営している場合、自己評価・外部評価の仕組みと運営推進会議の関係も知っておくと、年間の段取りが立てやすくなります。

外部評価については、運営推進会議を活用した評価によることも可能とする見直しが行われています。ただし、その場合に必要な進め方(第三者の関与、評価の様式、公表の方法など)は自治体の運用によって差があります。どちらの方式で行うかは年度のはじめに決めて、市町村に確認しておくのが安全です。年度の途中で方針が変わると、記録の作り方からやり直しになりがちです。

つまずきやすいところ

現場でよく聞くのは、この5つです。

どれも、知らないと抜けるけれど、知っていれば防げるものばかりです。責められるようなことではありません。

明日やること

一度に全部を整える必要はありません。明日は、この4つで十分です。

  1. 自事業所のサービス種別と、必要な開催頻度を確認する。指定通知書と市町村の手引きで、2か月に1回か6か月に1回かを確定させます
  2. 直近1年間の開催実績を数える。何回開いて、記録が何回分残っているかを数えるだけでかまいません
  3. 年間の開催枠をカレンダーに置く。年6回なら偶数月、年2回なら上期・下期、と機械的に決めてしまって大丈夫です
  4. 記録の公表方法を確認して、1行メモにする。「掲示板に貼る/市町村に提出する」のどちらかが分かれば、今日はそこまでで十分です

2まで進めば、その日はもう合格点です。3と4は来週の自分に回しましょう。

確認チェックリスト

よければ、こちらも

運営推進会議は、正直なところ、準備の手間に対して見返りが分かりにくい仕事です。案内を出し、資料を作り、当日は司会と記録を兼ね、終わったら議事録を書いて掲示する。それを年に何回も。「これ、誰のためにやっているんだろう」と思う日があっても、無理はありません。

でも、この会議で地域の方とつながっておいたことが効いてくる場面は、確かにあります。災害が起きたとき。利用者さんが道に迷われたとき。職員の募集をかけたいとき。そのときに「あそこの事業所さんね」と顔が浮かぶかどうかは、平時に何回この場を持ったかで決まります。あなたが出している案内文は、その関係を細く長くつないでいる線です。

年6回のうち1回抜けてしまった年があったとしても、それで全部が台無しになるわけではありません。次の回をきちんと開いて、記録を残して、掲示する。それを続けていれば十分です。

今日、次の開催日をカレンダーに1つ置けたなら、それでもう前に進んでいます。

運営推進会議を終えたあとの明るい会議室で、片づけをしながら地域の参加者を笑顔で見送っている介護事業所の事務担当者